「今日は朝から働き続けて、体はクタクタ。
それなのに布団へ入ると、急に頭がさえて眠れない」
このような悩みを抱える40代サラリーマンは少なくありません。
仕事で疲れれば自然に眠れるように思えますが、
体の疲れと脳の興奮は別のものです。
仕事の緊張や考え事を抱えたまま帰宅すると、
体は疲れていても、
脳はまだ仕事を続けている状態になります。
今回は「快眠ラボ」の40代会社員・佐藤さんを例に、
寝つけない原因と今夜からできる対策を考えてみましょう。
仕事で疲れているのに眠れない佐藤さん
佐藤さんは45歳の会社員。
最近、仕事の責任が増え、
部下の指導や取引先への対応に追われています。
帰宅するのは午後9時ごろ。
夕食と入浴を済ませ、午後11時には布団へ入ります。
ところが、目を閉じると次々に仕事のことが浮かんできます。
- 「今日送ったメールに間違いはなかっただろうか」
- 「明日の会議で何を話そう」
- 「部下の仕事が遅れている」
- 「早く眠らないと、明日もつらい」
眠ろうと頑張っているうちに時間が過ぎ、
時計を見ると午前1時。
焦った佐藤さんは、
さらに眠れなくなってしまいました。
疲れていること
と
眠れること
は同じではない
睡眠には、
起きている時間が長くなるほど高まる「眠る力」と、
朝晩の生活リズム、心身の覚醒状態などが関係しています。
体に疲労がたまっていても、
脳が次のような状態では寝つきにくくなります。
- 仕事の問題を考え続けている
- 失敗への不安がある
- メールや通知を気にしている
- 明日の予定を頭の中で整理している
- 眠れないことに焦っている
- ストレスで体に力が入っている
つまり佐藤さんは、体は休みを求めていても、
頭が「まだ仕事中」の状態なのです。
原因1|仕事の緊張を寝室まで持ち込んでいる
40代になると、職場での役割が大きくなりやすいものです。
- 管理職としての責任
- 部下の教育
- 上司からの評価
- 売上や納期
- 転職や昇進への不安
- 家計や住宅ローン
- 子どもの教育
- 親の介護
会社を出ても、これらの問題がすぐ消えるわけではありません。
帰宅後も頭の中で仕事を続けていると、
寝る時間になっても心身が休息へ切り替わりません。
対策|仕事を終える儀式を作る
退勤前または就寝前に、次の3点を紙へ書きます。
- 今日終わったこと
- 明日最初にすること
- 今夜は考えても解決しないこと
頭の中だけで予定を覚えておこうとすると、
脳は忘れないように何度も思い出します。
紙やメモへ預けることで、
「今日はここまで」と区切りをつけやすくなります。
原因2|帰宅後もメールや通知を確認している
スマートフォンの問題は画面の光だけではありません。
メールや仕事用チャットを見ることで、
脳が再び仕事モードへ戻ってしまうことも大きな原因です。
寝る直前に
「至急確認してください」というメッセージを見れば、
画面を閉じても内容が気になります。
【対 策】
- 仕事の通知を終える時刻を決める
- 就寝前は仕事用通知を停止する
- 緊急連絡の方法だけ職場で決める
- スマートフォンを枕元から離す
- 寝室へ仕事用パソコンを持ち込まない
- メール確認の最終時刻を決める
すべてのスマートフォン利用を急にやめる必要はありません。
まずは
「寝床の中で仕事の連絡を見ない」
というルールから始めましょう。
原因3|眠る直前まで仕事をしている
在宅勤務や持ち帰り仕事では、
仕事と私生活の境目がなくなりがちです。
仕事を終えてすぐ布団へ入っても、
脳は急には休息へ切り替わりません。
対策|眠る前に短い移行時間を作る
就寝前には、
仕事から睡眠へ切り替えるための時間を設けます。
例えば次のような流れです。
- 仕事の資料を片付ける
- 明日の予定を書く
- 照明を少し暗くする
- 入浴する
- 軽いストレッチをする
- 静かな音楽や読書を楽しむ
- 眠気を感じてから寝床へ入る
毎日同じ順番で行うと、
その行動が「これから眠る」という合図になっていきます。
原因4|「早く眠らなければ」と焦っている
佐藤さん
明日は朝6時に起きるから、今すぐ眠らなければ……。
この焦りそのものが、眠りを遠ざけることがあります。
時計を見て睡眠時間を計算するたびに、
「あと5時間しかない」
「明日の仕事に失敗する」
と不安が強くなるからです。
- 【対 策】
- 眠ろうと頑張りすぎない
- 時計を何度も見ない
- 「横になれば必ず眠らなければ」と考えない
- 眠気がないのに早く寝床へ入らない
- 眠れない状態が続くなら、一度寝床を離れる
- 暗めの部屋で静かに過ごし、眠気が戻ったら寝床へ戻る
日本睡眠学会も、不眠への行動的な方法として、
眠くなってから就床する「刺激制御法」などを紹介しています。
寝床を「眠れず悩む場所」ではなく、
「眠る場所」に戻していく考え方です。
原因5|眠くないのに早く布団へ入っている
睡眠不足が心配になると、
いつもより早い時間から布団へ入る人がいます。
しかし、
寝床で過ごす時間を増やしすぎると、
眠れない時間も長くなります。
その結果、「布団へ入ると目がさえる」
という結びつきが強くなる可能性があります。
【対 策】
寝る時刻より起きる時刻を整える
最初に意識したいのは、
無理に就寝時刻を早めることではなく、
朝の起床時刻を大きく変えないことです。
- 平日と休日の起床時刻を大きくずらさない
- 起床後にカーテンを開ける
- 朝食を取る
- 日中に体を動かす
- 長すぎる昼寝を避ける
- 夜は眠気を待って寝床へ入る
休日の昼まで寝る習慣があると、
日曜の夜に眠れず、
月曜の朝がさらに苦しくなることがあります。
原因6|夕方以降もカフェインを取っている
残業中の眠気を抑えるため、
夕方や夜にコーヒー、緑茶、エナジードリンクを飲む人もいます。
カフェインへの反応や影響時間には個人差がありますが、
遅い時間の摂取が寝つきを妨げる可能性があります。
【対 策】
- 飲んだ時刻と睡眠を記録する
- コーヒーを飲んだ時刻
- お茶やエナジードリンクの量
- 寝床へ入った時刻
- 眠れたと思う時刻
- 翌朝の目覚め
これらを1~2週間記録すると、
自分がカフェインの影響を受けやすいか確認できます。
夕方以降は、
カフェインを含まない飲み物へ替えてみましょう。
原因7|寝酒で眠ろうとしている
酒を飲むと眠気が出るため、
寝つきがよくなったように感じます。
しかし、アルコールが抜けてくると睡眠が浅くなり、
夜中や早朝に目覚めやすくなる場合があります。
いびきや睡眠時無呼吸を悪化させる可能性にも注意が必要です。
【対 策】
- お酒を睡眠薬代わりにしない
- 眠るためだけに飲まない
- 飲酒量と中途覚醒を記録する
- 休肝日を作る
- 入浴や読書など別の切り替え習慣を作る
- 睡眠薬と酒を自己判断で併用しない
- 自分で減らせない場合は医療機関へ相談する
「飲めば眠れる」
から
「飲まないと眠れない」
に変わっている場合は、
早めに相談しましょう。
原因8|寝室が仕事を思い出させる場所になっている
寝室に仕事用パソコンや資料が置いてあると、
目に入るだけで仕事を思い出す場合があります。
在宅勤務で寝室を仕事場にしている人は、
特に切り替えが難しくなります。
対策|仕事と睡眠の場所を分ける
部屋を完全に分けられなくても、
次の工夫ができます。
仕事が終わったらパソコンを収納する
資料へ布をかける
机とベッドの向きを変える
仕事用照明と夜の照明を分ける
ベッドの上で仕事や食事をしない
寝室を見たときに仕事ではなく、
休息を連想できる環境を作りましょう。
今夜からできる「頭を休める30分」
寝る前の行動をすべて変える必要はありません。
まずは次のような短い流れを試してみましょう。
30分は目安なので、
自分の生活に合わせて調整してください。
就寝前30分
仕事のメールとチャットを閉じます。
スマートフォンは充電場所へ置きます。
就寝前20分
明日の予定と心配事を紙へ書きます。
「明日の午前中に考える」と決め、
今夜の問題から外します。
就寝前15分
部屋の照明を少し暗くし、
激しい運動や仕事を避けます。
就寝前10分
軽いストレッチや、
ゆっくりした呼吸を行います。
眠気が出たら
寝床へ入ります。
「決めた時刻だから寝る」より、
「眠気が来たから寝床へ行く」を意識します。
やってはいけない眠れないときの対策
・時計を繰り返し見る
残り時間を計算すると焦りが強くなります。
時計の文字盤やスマートフォンを見えにくい向きへ置きましょう。
・布団の中で仕事をする
寝床と覚醒が結びつきやすくなります。
メール返信や資料確認は寝床以外で行います。
寝酒に頼る
一時的に眠くなっても、
睡眠の後半が乱れる可能性があります。
休日に昼まで寝る
一時的に楽になっても、
夜の寝つきを悪くして翌週のリズムを乱すことがあります。
市販薬やサプリを次々に試す
眠れない原因が
ストレス、無呼吸、体の痛み、病気などの場合、
商品を替えるだけでは解決できません。
睡眠薬を使用している人も、
自己判断で増量・中止せず、
処方した医師へ相談してください。
佐藤さんが変えた4つの習慣
佐藤さんは、
いきなり完璧な睡眠を目指すのをやめ、
次の4点から始めました。
- 午後9時半で仕事の通知を止める
- 明日の予定をノートへ書く
- スマートフォンを寝床から離す
- 眠気が来てから寝床へ入る
最初の数日は、すぐに眠れるわけではありませんでした。
それでも「早く寝なければ」と布団の中で焦る時間が減り、
少しずつ仕事と睡眠を切り替えやすくなりました。
睡眠改善は、1日で結果を出す仕事ではありません。
自分に合う習慣を少しずつ残していくことが大切です。
睡眠日誌で原因を見つけよう
「眠れない」と感じていても、原因は人によって違います。
1~2週間、次の項目を記録してみましょう。
【記入例】 記録すること
- 寝床へ入った時刻 23時00分
- 眠れたと思う時刻 0時20分ごろ
- 起床時刻 6時30分
- 昼寝 15時から30分
- カフェイン 17時にコーヒー
- 飲酒 ビール2本
- 夜の仕事 22時までメール
- 翌日の眠気 午前は普通、午後は強い
- 心配事 翌日の会議
完璧に記録する必要はありません。
「夕方にコーヒーを飲んだ日に寝つきが悪い」
「休日に寝すぎた日は眠れない」
など、自分の傾向を探すために使います。
医療機関へ相談したい目安
生活習慣を見直しても不眠が続き、
仕事や生活へ支障が出ている場合は、
内科、心療内科、精神科、睡眠外来などへ相談しましょう。
特に、次の症状がある場合は早めの相談をおすすめします。
- 眠れない状態が長く続いている
- 日中の眠気で仕事に支障がある
- 運転中に眠くなる
- 家族から大きないびきや呼吸停止を指摘された
- 朝の頭痛や息苦しさがある
- 気分の落ち込みや意欲低下が続く
- 酒や薬がないと眠れない
- 胸痛、息切れ、強い体調不良がある
不眠症の治療では、生活習慣の調整だけでなく、
不眠に対する認知行動療法や、
必要に応じた薬物療法などが検討されます。
日本睡眠学会のガイドラインでも、
認知・行動面からの介入が選択肢として示されています。
まとめ|眠る前に仕事を手放そう
仕事で疲れているのに眠れないのは、
意志が弱いからではありません。
体は疲れていても、
仕事の緊張、メール、考え事、眠れない焦りによって、
頭が覚醒したままになっている可能性があります。
今夜から意識したいのは、次の4点です。
- 明日の予定を紙へ書き出す
- 就寝前に仕事の通知を止める
- 眠ろうと頑張りすぎない
- 眠気が来てから寝床へ入る
そして朝は、
休日も含めて起床時刻を大きく変えないようにします。
眠るために何かを増やすより、
まずは寝室へ持ち込んでいる仕事と焦りを手放してみましょう。


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